助手パートで働く方から、会社に寄せられることの多いご相談です。シフトを増やしたいけれど、扶養からは外れたくない、というお話でした。



改正により状況が追えていない方も多いのではないでしょうか。また、勤め先の会社の規模によっても見るところが違います。
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扶養から外れる2つの場面
配偶者の社会保険の扶養(被扶養者)から外れるのは、主に次の2つの場面です(厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」Q&A 令和5年10月20日)。
- 勤務先で、本人が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する
- 勤務先で加入しないが、年間の収入が130万円以上になる見込みになる
なお、この130万円という数字は有名ですが、年齢60歳以上の方は180万円以上、お子さんの場合になりますが年齢19歳以上23歳未満の方は150万円以上になる見込みとなるなど、年齢によっては別の金額要件が適用となる場合がございますので、ご注意ください。
勤務先で社会保険に加入する場合
すべての会社において、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、正社員など通常の労働者の4分の3以上ある方は、本人が勤務先で必ず加入しないといけません(健康保険法3条1項9号)。
つまりこの要件に該当すると、扶養に入ることができません。
しかし、そもそも正社員の4分の3以上のペースで働いている方は、年収が130万円を超える条件で働いていらっしゃると思われますから、この要件があまり問題になることはありません。
厚生年金保険に加入している人が常時50人を超える会社(従業員51人以上の会社)では、上記のほか、次のすべてに当てはまると加入しなければならない、という要件があります(健康保険法3条1項9号、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」附則46条12項)。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生ではない
注意点として、ここで従業員として数えるのは、厚生年金保険に加入している人です。週20時間以上などの条件で加入しているパートの方や、70歳以上で健康保険だけに加入している方は、人数に含めません(厚生労働省 Q&A 令和6年9月5日 問8)。
なお、合計人数は、法人であれば、本店や支店などすべての事業所の厚生年金保険の加入者を合わせて数えます(厚生労働省 Q&A 令和6年9月5日 問7)。
また、月額8.8万円は、年額にするとおよそ106万円になります。いわゆる「106万円の壁」は、この要件のことを指していました(後述のとおり撤廃されます)。
2026年10月からの変更
所定内賃金の要件(月額8.8万円以上)は、2026年10月に撤廃される予定です(厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト)。つまり今後、従業員51人以上の会社では、週20時間以上働く方は、賃金の額にかかわらず勤務先で加入することになるということです。
これは要件が厳しくなるわけではなく、最低賃金の金額が上がったことから、週の所定労働時間が20時間以上となるとこの月額8.8万円以上の要件を自ずと超えることになったため削除されるということです。
年収130万円の要件は残っています。したがって、週の所定労働時間は20時間未満だが、時給の設定が高額であったため年収130万円の要件を超える場合には、社会保険の扶養に入ることはできなくなります(国民健康保険に自分で加入することになると思われます)。
また、2026年10月から、新たに加入の対象となる会社などが、短時間で働く加入者の保険料について、会社の負担の割合を増やして本人の負担を軽くできる特例が始まります。会社からの申し出が必要で、期間は3年間です(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」附則22条・24条)。
2027年10月からの変更
週20時間以上などの条件で加入する会社の規模が、段階的に広がります(厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト)。
- 2027年10月から:従業員36人以上の会社
- 2029年10月から:従業員21人以上の会社
- 2032年10月から:従業員11人以上の会社
- 2035年10月から:規模にかかわらずすべての会社
いまは対象外の50人以下の会社でも、規模によっては、この時期から週20時間以上働く方が勤務先で加入することになります。
年間収入130万円の基準
勤務先で加入しない場合、配偶者の扶養に入れるかどうかは、年間の収入の見込みで判断されますが、これは過去の実績ではなく、これからの1年間の見込みで見ます。
2026年4月からは、労働条件通知書などの労働契約で定められた賃金から見込まれる年間の収入が130万円未満であることが確認できれば、原則として扶養に入れる扱いができました(厚生労働省通知 令和7年10月1日)。ただし、この扱いは給与収入だけの方に限られ、本人が「給与収入のみである」旨を申し立てる必要があります。年金や事業収入などほかの収入がある方は、従来どおり給与明細書や課税(非課税)証明書などで判定されます(厚生労働省 Q&A 令和8年3月9日 問6、日本年金機構のお知らせ 令和8年5月1日)。
この賃金には、諸手当や賞与も含まれます。また、通勤手当も含まれ、労働条件通知書に「通勤手当有」とだけあって金額が分からない場合は、この扱いで扶養に入ることはできないとされていますのでご注意ください(日本年金機構のお知らせ「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」令和8年5月1日)。
また、扶養を受けるためには、「扶養する配偶者の年間の収入の2分の1未満」であることが必要など、細かい要件が他にもあり、注意が必要です(「収入がある者についての被扶養者の認定について」昭和52年4月6日)。
まとめ
- 扶養から外れるのは、勤務先で社会保険に加入するときと、年間の収入の見込みが130万円以上になるとき
- 従業員51人以上の会社では、週20時間以上などの条件を満たすと勤務先で加入する
- 月額8.8万円の賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定
- 週20時間以上で加入する会社の規模は、2027年10月の36人以上から段階的に広がる
- 勤務先で加入しない場合は、年間の収入の見込みが130万円未満かどうかで判断される
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