少額減価償却資産の40万円未満への引き上げと、従業員数の要件

少額減価償却資産について調べたところ、30万円未満と書いてあるページと40万円未満と書いてあるページがありました。どちらなのでしょうか。

2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満です。それより前に取得したものは30万円未満のままです。

助手

検索すると30万円未満と書かれたページがまだ多く出てきます。改正の前に書かれた記事が残っているためです。

田口

金額のほかに、使える事業者の範囲も同時に変わりました。こちらは狭くなっています。

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回答

青色申告をしている中小事業者・中小企業者等は、取得価額が一定額未満の資産を、その年(法人はその事業年度)に全額経費にできます。この金額が、2026年4月1日以後に取得したものから40万円未満になりました(個人は租税特別措置法28条の2、法人は同法67条の5)。

判定するのは取得した日です。事業に使い始めた日ではありません。2026年3月に取得した資産は、使い始めたのが4月以後であっても30万円未満で判定します。

年間の合計300万円までという枠は変わっていません。適用の期限は2029年3月31日までで、こちらは3年延長されています。

40万円未満かどうかは、その事業者が使っている経理方式で判定します。税込経理であれば消費税込みの金額で見ることになるので、税抜きで40万円を下回っていても対象にならない場合があります(消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて9)。

10万円・20万円・40万円の区分

取得価額によって選べる処理が分かれます。今回変わったのはいちばん下の枠だけです。

  • 10万円未満 … その年に全額を経費にする。青色申告かどうかや事業の規模は問われない(所得税法施行令138条、法人税法施行令133条)
  • 20万円未満 … 一括償却資産として3年に分けて均等に経費にする。こちらも青色申告は要件ではない(所得税法施行令139条、法人税法施行令133条の2)
  • 40万円未満 … 今回の特例。青色申告をしている中小事業者・中小企業者等に限られ、年間300万円まで

上限が上がったことで、20万円台・30万円台の資産をこの特例で処理する場面は増えます。ただし20万円未満の資産については、一括償却資産との選択が残ります。後で触れる償却資産税の扱いが変わるためです。

同時に狭くなった従業員数の要件

金額の引き上げと同じ2026年4月1日から、使える事業者の範囲が狭くなりました。

常時使用する従業員の数が、500人以下から400人以下に引き下げられています(個人は租税特別措置法施行令18条の5、法人は同令39条の28第1項第1号)。電子申告が義務づけられている特定法人については、従来どおり300人以下です。

金額が上がったことだけを見て要件も同じだと考えると、判断を誤ることがあります。従業員が400人を超える規模であれば、金額にかかわらずこの特例は使えません。

償却資産税の扱い

この特例で全額を経費にしても、償却資産税(固定資産税)の対象からは外れません。

償却資産税で対象から外れるのは、10万円未満で全額を経費にしたものと、20万円未満で一括償却資産にしたものだけです(地方税法施行令49条)。租税特別措置法の少額減価償却資産は、この列挙に入っていません。

上限が40万円未満に上がったことで、償却資産として市町村に申告する資産はむしろ増えます。所得税や法人税では経費になっているのに、市町村には資産として申告する形になります。

20万円未満の資産であれば、一括償却資産を選ぶことで償却資産税の対象から外せます。その年に全額を落とすか、3年に分けて償却資産税を避けるか、という選び方になります。

まとめ

  • 少額減価償却資産の上限は、2026年4月1日以後に取得したものから40万円未満
  • 判定するのは取得した日。事業に使い始めた日ではない
  • 年間300万円の枠は変わっていない
  • 適用の期限は2029年3月31日まで
  • 常時使用する従業員の数の要件が、500人以下から400人以下に引き下げられた
  • 償却資産税の対象からは外れない。20万円未満は一括償却資産との選択が残る

【免責事項】 本資料の記載内容は、関連法令や文献に基づく作成者個人の見解および解釈をまとめたものです。記載内容は記事上部に表示した日付の時点の法令等に基づいており、その後の改正により取扱いが変わっている場合があります。内容の正確性には万全を期しておりますが、実際の税務運用や個別具体的なケースへの適用については、必ず顧問税理士や所轄の税務署へご確認いただきますようお願いいたします。 なお、本資料の情報をご利用されたことによって生じたいかなる損害やトラブルについても、作成者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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税理士 田口直通(たぐち なおみち)
  • freee認定アドバイザー
  • 事業承継・M&Aエキスパート
  • 税理士(登録番号 第158875号)

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