助手フリーランスでデザインの仕事をされているAさんからのご相談です。入金額が相手によって違うので、自分の請求書に不備があるのではと気にされています。



よくいただくご質問です。
実は発注元の状況によっても変わる可能性があるのです。
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回答
結論から申し上げます。報酬から所得税を天引きするかどうかは、受け取るあなただけではなく、支払う相手の事情も踏まえて決まります。
天引き(源泉徴収)をする義務があるのは「源泉徴収義務者」だけです。そして誰が源泉徴収義務者になるかは、次のように分かれます。
- 相手が法人(会社)の場合 … 原則として源泉徴収義務者にあたるため、報酬から天引きされます
- 相手が個人の場合 … その人が従業員を雇って給与を支払っているかどうかで分かれます
給与を支払っている個人であれば天引きされます。一方、従業員を雇っておらず給与を支払っていない個人、たとえば一人で事業をしているフリーランスの方や、事業をしていない一般の方からの支払いは、天引きされません。これは所得税法204条2項2号に定めがあります。
なお、家事使用人(お手伝いさん)だけに給与を払っている個人も、常時2人以下であれば天引きしない側になります(所得税法184条)。
発注元の状況にもよる
この質問でつまずきやすいのは、原因を自分の側に探してしまうところです。
請求書を確認しても、答えは出ません。
確認すべきなのは請求書ではなく、相手が誰かです。
同じ内容の仕事、同じ金額の請求書でも、相手が会社なら引かれ、相手が一人でやっている個人事業主なら引かれない、という可能性は十分にあります。
引かれること自体は損ではありません
天引きされた所得税は、税金の前払いです。確定申告のときに、その年の所得税から差し引いて精算されます。払い過ぎていれば還付されますので、引かれること自体で損をすることはありません。
損が出るとすれば、帳簿の付け方を間違えたときです。
入金された29,937円をそのまま売上として記帳してしまうと、2つのことが同時に起きます。売上が実際より少なく計上され、そして前払いしたはずの3,063円がどこにも残りません。精算されるはずの税金が申告書に乗らないまま終わってしまいます。
正しくは、売上は天引きされる前の金額(この例では33,000円)で計上し、引かれた3,063円は経費ではなく資産として別に持っておきます。 経費に入れてしまうのも誤りです。あくまで前払いした所得税であって、事業の費用ではありません。
1年分を集計して申告書に乗せることになりますので、他の支出と混ざらない形で残しておくと、年末に拾い直さずに済みます。
まとめ
- 報酬から天引きされるかどうかは、支払う相手が源泉徴収義務者かどうかで決まる
- 相手が法人なら原則として引かれる。相手が個人なら、従業員に給与を払っているかどうかで分かれる
- 同じ仕事・同じ請求額でも相手によって入金額が変わるのはありうる
- 引かれた税金は前払いであり、確定申告で精算される。売上は天引き前の金額で計上し、引かれた分は経費ではなく資産として残しておく
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