助手採用で他社と差をつけたい、という会社からいただくご質問です。制度そのものは知っていても、渡し方まで意識されていないことが多いようです。



出す金額が同じでも、渡し方によって税金と社会保険料の扱いが変わってきます。使える相手が限られている点にも注意が要ります。
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回答
給与に上乗せして渡すと、その分は給与として所得税・住民税の対象になり、社会保険料の計算にも入ります。
会社から日本学生支援機構へ直接返済する形にすると、どちらの対象からも外れる扱いになります。会社が出す金額は同じでも、本人に残る額と会社の負担が変わってきます。
たとえば年間24万円を援助する場合、給与に上乗せすれば、本人はそこから所得税・住民税と社会保険料を引かれた残りしか受け取れません。直接返済であれば、24万円がそのまま返済に充てられます。
所得税がかからない理由
所得税法では「学資に充てるため給付される金品」を非課税と定めています(所得税法9条1項15号)。
もっとも、奨学金の返済に充てるための給付は、学校を出たあとに支払われるものですので、そのお金が直接学資に充てられるわけではありません。この点について国税庁は、質疑応答事例「奨学金の返済に充てるための給付は『学資に充てるため給付される金品』に該当するか」において、一定の要件を満たす場合には実質的に直接学資に充てる給付と同様であるとして、非課税の学資金として取り扱って差し支えないとしています。住民税も同じ扱いになります。
満たす必要があるのは次の3つです。
- 会社から返済機関へ直接送金すること。 本人の手元を経由させない(返済以外に使われないようにするため)
- 給付する額が、給付時の奨学金の債務残高を超えないこと。 その奨学金が、修学に要した費用の額の範囲内で貸与されたものであることも前提になります
- 通常の給与を減らさないこと。 もともとの給与を減らして、その分を代理返還に振り替える形は認められません
役員とそのご親族は対象になりません
この非課税の扱いは、一般の従業員を対象としたものです。法人の役員自身と、役員のご親族など「特別の関係がある者」への学資金は非課税になりません(所得税法9条1項15号イ・ロ)。給与として課税されます。
制度を知った経営者の方が最初に考えるのは、多くの場合ご自身のお子さんやご親族のことです。ここは対象から外れていますので、導入するかどうかは従業員の方を対象として考えていただくことになります。
社会保険料の扱い
会社が機構へ直接返済する場合、その金銭は奨学金の返済に充てられることが客観的に明らかで、本人の生計に充てられるものではないため、社会保険料の計算の基礎になる「報酬等」にはあたらないとされています。
社会保険料は会社と本人で折半しますので、対象から外れると双方の負担が下がることになります。
本人の口座へ直接支給した場合は、そのお金が本当に返済に充てられたかが客観的に明らかでないため「報酬等」にあたります。給与を減らして振り替えた場合も、労働の対償である給与を別の方法で払っているにすぎないため、直接送金であっても「報酬等」にあたるとされています。
会社が負担した額の扱い
会社が支出した代理返還の費用は、職種や勤続年数などの適正な基準に基づいて全従業員を対象に普遍的に支給されるものであれば、福利厚生費などの科目で全額を損金に算入できます。
逆に、特定の役員などに向けた恣意的な支給と見られる形では、この扱いにはなりません。前に述べた役員・ご親族の除外とあわせて、制度として基準を定め、対象者を限定しない形で設計することが要になります。
まとめ
- 会社から日本学生支援機構へ直接返済する形であれば、所得税・住民税の対象にならない
- ただし役員とそのご親族などは対象外で、給与として課税される
- 社会保険料の計算の基礎になる「報酬等」にもあたらないため、会社と本人の双方の負担が下がる
- もともとの給与を減らして振り替える形や、本人の口座へ直接支給する形では、どちらの扱いも受けられない
- 非課税であっても、賃上げ促進税制の給与等の額には含めて計算することができる。賃金台帳に非課税手当として記載し、集計しておく
- 会社が負担した額は、適正な基準で全従業員を対象に普遍的に支給するものであれば損金に算入できる
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