助手創業融資を受けたばかりのBさんからのご相談です。300万円の融資が決まったのに、通帳には294万5,000円と記帳されていて戸惑われています。



よくあるご質問です。差し引かれた分の扱いで、その年の経費の額も変わってきます。
SNSでも発信しています!
回答
帳簿の借入金に載せるのは、契約した借入額のほうです。この例では300万円になります。返済する義務を負っているのは300万円だからで、入金額の294万5,000円ではありません。
では差し引かれた55,000円をどうするかというと、入金額から引いて済ませるのではなく、中身を分けてそれぞれ処理します。
まとめて「支払手数料」で落としてしまいたくなるところですが、中身によって扱いが変わります。その年の経費にならないものが混じっていることもあります。
差し引かれた分の内訳
この例では、差し引かれた55,000円の内訳は次のようになっています。
- 融資事務手数料 5,500円 … 審査や手続きの対価です。支払手数料として、その年の経費になります
- 印紙代 2,000円 … 金銭の貸し借りの契約書には印紙税がかかります。租税公課として、その年の経費になります
- 信用保証料 47,500円 … これだけ扱いが違います。次の項でご説明します
差し引かれる費目は、金融機関や使う制度によって変わります。保証協会を使わない融資であれば保証料はありませんし、手数料の名称が違うこともあります。
実務では、差額の内訳が分かる書類を必ず受け取っておくことをおすすめします。融資の計算書や明細書です。通帳には入金額しか残らないため、後から内訳を再現するのは手間がかかります。
保証料の扱い
信用保証協会の保証料は、支払った年に全額を経費にすることができません。
理由は、この保証料が借入期間の全体にわたって保証を受けるための対価だからです。7年で借りたのであれば、7年分の保証をまとめて前払いしていることになります。支払った年に全部を経費にすると、その年だけ経費が多くなり、実態と合いません。
そこで、支払ったときは前払費用(長期前払費用)として資産に計上し、期間の経過に応じて按分した分を、毎年の経費に振り替えていきます。
信用金庫の出資金
信用金庫から借りる場合、会員になるための出資金の払込みを求められることがあります。融資の手続きと同じタイミングで払うため、諸費用と一緒に経費へ入れてしまいがちなところです。
出資金は経費ではありません。資産として「出資金」に計上します。脱退するときに払い戻しを受ける性質のもので、支払って終わりのお金ではないためです。
まとめ
- 借入金として帳簿に載せるのは、入金額ではなく契約した借入額
- 差し引かれた分は、まとめずに中身を分けて処理する
- 融資事務手数料は支払手数料、印紙代は租税公課。どちらもその年の経費
- 信用保証料は前払費用(長期前払費用)に計上し、借入期間に応じて按分する
- 信用金庫の出資金は経費ではなく資産
- 差額の内訳が分かる書類は、融資実行時に受け取っておく
【免責事項】 本資料の記載内容は、関連法令や文献に基づく作成者個人の見解および解釈をまとめたものです。記載内容は記事上部に表示した日付の時点の法令等に基づいており、その後の改正により取扱いが変わっている場合があります。内容の正確性には万全を期しておりますが、実際の税務運用や個別具体的なケースへの適用については、必ず顧問税理士や所轄の税務署へご確認いただきますようお願いいたします。 なお、本資料の情報をご利用されたことによって生じたいかなる損害やトラブルについても、作成者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

